RI会長メッセージ

ステファニー A. アーチック

2024-25 年度会⻑
マクマリー・ロータリークラブ所属
米国ペンシルバニア州

経歴

アーチック氏は、コンサルティングと研修を専門とするDoctors at Work LLC社の共同経営者兼最高執行責任者です。
ペンシルベニア州立インディアナ大学でリーダーシップ学の博士号を取得。
地域社会で数々の団体の理事を務め、Zonta InternationalやSons of the American Revolutionといった団体から表彰されています。
1991年にロータリー入会。ベトナムに赴いて小学校建設を援助したほか、ドミニカ共和国では浄水フィルタの設置を援助。複数のスラブ系言語を学び、ウクライナの新ロータリアンへのメンタリングやポーランドでのロータリー財団補助金プロジェクトの調整役もこなしました。
ロータリーでは、理事、財団管理委員、RI戦略計画委員⻑、財団100周年祝賀委員⻑を歴任。現在は選挙審査委員会と運営審査委員会の委員を務めています。ロータリー財団のメジャードナー、遺贈友の会会員。

メッセージ

ロータリーファミリーの皆さま、こんにちは。魅力あふれるチーム(the Irresistibles)である2024-25年度地区ガバナーの皆さまに向けてお話しでき光栄です。私が皆さまを「マイファミリー」(私の家族)と呼ぶとき、単に親切心からそうしているわけではありません。本当に、皆さまを家族同様に思っています。

今日は、ロータリーファミリーのとても大切なメンバーたちに特別なスポットライトを当てることから始めたいと思います。数週間後に私は、素晴らしいヘルスワーカーの女性たちとお会いするためにパキスタンを訪れます。

ポリオ撲滅活動への支援

ポリオをあらゆる場所から根絶することは、パキスタン全土でこの難しい仕事を一つずつこなすことを意味します。それは、困難で、時には危険な仕事です。女性たちは、文字通り、山を登って人里離れた場所で子どもたちに予防接種をしますが、それは困難さの半分にも及びません。彼女たちは、誤情報や先入観と絶えず闘わなければなりません。

パキスタンで、そして世界でポリオが根絶されたら、その大部分はこれらの女性たちのおかげです。皆さまの多くはこれらのワーカーと決して会うことはないでしょう。でも、皆さまが彼女たちをサポートし、その貢献を大切にしていることを、パキスタンに行ったら彼女たちに知ってもらいたいと思います。現地で彼女たちとシェアできるよう、ぜひ総立ちの拍手を送ってください…。カメラの準備をしますので、ちょっとお待ちください。

大きな拍手に加えて、これらのヘルスワーカーとポリオ根絶活動を支援する最善の方法は、認識向上と資金調達です。クラブまたは地区のポリオプラス・ソサエティへの参加や設立は、今からでも遅くありません。私たちの寄付に対しては、ビル&メリンダ・ゲイツ財団が引き続き2倍額を上乗せしますが、年次募金目標である5,000万ドルを私たちが達成することが条件となります。認識向上を促すには、地元の議員や政府のリーダーに連絡し、ポリオが現在も脅威であることを伝えて、ポリオ根絶への支援を呼びかけてください。ポリオは今も私たちの最優先事項であり、最大限のコミットメントが必要とされます。成すべき重要な仕事はまだ多くあります。

行動計画の推進者として

ありがたいことに、活動をしやすくし、クラブでの体験を魅力的なものとするために、ロータリーの行動計画があります。そこからロータリーのマジック(魔法)が始まります。分断された世界を癒すには、そのマジックが必要です。世界の武力紛争と避難民の数は、驚くほどのスピードで増加しています。ポジティブなインパクトをもたらしたければ、私たちがベストを尽くす必要があります。これは、組織としての私たち自身について、いくつかの変更を加える必要性があるかもしれないことを意味します。変化に対して不安を感じるかもしれませんが、私たちが共に変化すればそれも和らぎます。

そのことを念頭に、クラブがよりよくなるために変化し、ロータリーの強さを維持できるよう、皆さま全員に行動計画の推進者となっていただくようお願いいたします。行動計画には継続の余地が十分にあります。この計画は、ロータリーの最善のアイデアを捨てるのではなく、それを土台として築いていくものです。

行動計画は、地区内のクラブでの体験をよりよくするのに役立つ手段であると考えてください。皆さまには影響力があることを忘れないでください。クラブを設立するのは地区ガバナーです。皆さまは、クラブのリーダーが創造的に考え、既存会員と将来の会員のために魅力的な体験を生み出せるよう後押しできます。これは、皆さんの地区でのやり方を変えることを意味するかもしれません。地区が過去50年間に同じ方法で物事を行ってきたのであれば、おそらくそれを見直す時が来ているでしょう。行動計画はクラブの強みと弱み、改善点を特定する上で役立つものです。

地域社会のニーズとの橋渡しを

地区内のクラブが活発に活動していない場合、または会員が減っている場合、地域社会にもっと合った新クラブを結成する時が来ているのかもしれません。クラブ会員が何を望んでいるのかを尋ね、地域社会のニーズとの橋渡しをしましょう。クラブや地区が長年変わっていないからといって、誰も変化を望んでいないわけではありません。地区ガバナーである皆さまには、向上する力をクラブ会員に与える素晴らしい機会があります。

地区内のクラブ会員と連絡を取り、クラブでの体験はどうか、クラブをよりよくするために何ができるかを尋ねてみてください。また、まだ入会していないけれどロータリー会員になるべき地元のリーダーと話すことを検討してください。その人たちはロータリーのことを知らないのかもしれません。あるいは、地元クラブの現在の構造がその人たちに適していない可能性もあります。心からクラブへの帰属意識を持てずにいる会員がいることにも気づくかもしれません。だからこそ、多様性、公平さ、インクルージョン、そして帰属意識へのコミットメントを広げることが重要です。

奉仕の心と実行力のある人は誰でも、ロータリーに属しています。行動志向の次世代の人たちをオープンな心で迎えていただけることを願っています。たとえ、地元クラブの典型的な会員とは異なるタイプの人であっても。DEIを受け入れれば、共通の目的のために結束しやすくなります。ともに献身し、力を注ぐことで、ロータリーは最も効果的で時代に即した存在になることができます。

しかし、活動はそこで終わるわけではありません。私たちがクラブについて人びとに伝えなければ、クラブが魅力的であると誰も知ることはありません。事実、この困難の時代に前向きなイメージを広げ積極的平和を広げるには、ストーリーテラー(語り部)が必要とされます。

平和構築の推進

平和構築は私の最優先事項の一つであり、この国際協議会は地区ガバナーとなるための準備以上のものです。ロータリーの平和構築プログラムとイニシアチブを支援するための行動喚起のときなのです。そのようなプログラムの一つに、ロータリー平和フェローシップがあります。これは、平和と開発の専門家が紛争の終結と防止に取り組むのを支援するために、20年以上前に始まったロータリー財団のプログラムです。

私たちは、世界各地の名門大学にあるロータリー平和センターで学ぶためのフェローシップを提供します。これまでに1,800人以上の平和フェローがロータリー平和センターを卒業し、よりよい世界を築くために現在140カ国以上で活躍しています。

また、オットー&フラン・ウォルター財団(Otto and Fran Walter Foundation)からの1,550万ドルのご寄付のおかげで、トルコのイスタンブールにあるバーチェシェヒル大学に設置される平和センターで、もっと多くの地域の平和構築者を引き続き支援できます。

第一期生たちは2025年初旬にイスタンブールに到着します。これを記念し、ロータリー会員、ロータリー平和フェロー、積極的平和アクティベーターなどの人たちが、2025年2月に予定されているロータリー会長平和会議に集います。

この会議のテーマは、「分断された世界を癒す」です(もうすぐ発表する年次テーマではありません)。この会議は、ロータリーの平和活動に焦点を当て、ともに学ぶ機会となります。平和会議についての詳細は、シンガポールで開催される国際大会で伝えられます。現地で皆さまにお会いするのが待ちきれません。それまでの間、皆さまと地区の会員は、平和の推進のために多くのことを行うことができます。地域社会で平和への希望を広めたいという会員は、地元の公園や遊び場、人びとが集う場所にピースポールを設置できます。私が最も好きな平和構築の手段の一つに、「四つのテスト」があります。すべてのロータリー会員が、単に四つのテストを暗唱するのではなく、それを真に実践していれば、世界はよりよくなるでしょう。ロータリー会員が平和構築活動を支援する方法はたくさんありますが、今日、覚えておいていただきたいことが一つあります。それは、平和を世界に広げるには、まず自分自身の中に平和を見出さなければならないということです。

思いやりある行動を取ることで、不安や落ち込んだ心を和らげ、既知のどのアプローチよりも社会的なつながりを効果的に促すことができます。私たちは、他者を助けることに喜びを見出しますが、バランスを取るという難題にも直面しています。自分たちを変えつつも、自分たちの真の姿に忠実であり続けなければなりません。

私のテーマの色としてオレンジとスカイブルーを選んだのは、このためです。オレンジは、秋の主な色として、季節の移り変わり、つまり、一つの段階の終わりと別の段階の始まりを表しています。実際、オレンジ色は変化を表す主な色です。一方、青は、知識と知性、つまり信頼性と忠誠を連想させます。青は、オープンなコミュニケーションへの意欲を与えます。これらの色の組み合わせは、自分自身を変え、世界を変えながら共に前進したいという熱い思いを表しています。

ということで、前置きが長すぎました。2024-25年度のテーマを聞く準備はできていますか?では、テーマをお教えしますが、その前にある逸話を簡単にご紹介します。

ロータリーのマジック

数年前、私はドミニカ共和国で浄水器の設置を手伝っていました。浄水器の片方から汚い水が入り、反対側から透明な水が出てくるのを、二人の少年が見ていました。その水の流れを最初に止めた時のことを、私は決して忘れません。少年の一人が私の袖をつかんで、「もう一度魔法を見せて」と言ったのです。もちろん、その浄水器が魔法なのではありません。浄水器を輸送し、設置し、受益者の方々と協力してメンテナンスを行うために、私たちは懸命に活動しました。安全な水を簡単に入手できれば自分たちの人生が変わるということを、少年たちは知っていました。私が少しでもその力になれたと知ったことで、私の人生も変わったのです。

このため、私たちの年度のテーマは、「ロータリーのマジック」です。

誤解しないでください。私たちは魔法の杖を振って呪文を唱えるだけで会員を増やしたり、ポリオを根絶したり、世界に平和をもたらしたりするわけではありません。それは皆さん次第です。プロジェクトを終えるたび、寄付するたび、新会員を迎えるたびに、皆さんはマジック(魔法)を生み出すのです。

皆さまの地域のクラブを突き動かすものが何であれ、「ロータリーのマジック」がそれを促進します。ロータリーファミリーに新会員を加えることで、「ロータリーのマジック」を広げることができます。女性と女児の力を解き放つことで、「ロータリーのマジック」を解き放つことができます。世界に変化をもたらすための資金を募ることで、「ロータリーのマジック」を前進させることができます。

ロータリー会長、そして地区ガバナーとしての私たちの1年が終わるとき、このマジックが続いていくようにする準備ができている人が大勢いるかどうかは、私たち次第です。

私はロータリーファミリーを愛しています。この会場でその愛を感じることができます。だからこそ、皆さまには地区のすべてのクラブを魅力的にする力があると知っています。この国際協議会は永遠に続くわけではありませんから、どんなに小さな瞬間も最大限に活用してください。束の間のつながりが生涯の友情につながるかもしれません。学んだシンプルなことが、皆さまのロータリー人生を変えるかもしれません。そのような機会を見逃さないでください。

家に帰ったら、「ロータリーのマジック」を使って世界を変えていきましょう。